友達に対し消極的な幼稚園年長の娘
塾の授業を乱す生徒に悩む
【お悩み】:私は塾の講師をして十年になりますが、最近入塾してきた小学四年生の男子児童への対応で悩んでいます。
彼は授業中に大声で騒いだり、教室を動き回ったり、他の子の持ち物を勝手に使って壊してしまうなど、問題児になっています。
いくら厳しく注意してもその時だけの返事で、言うことをききません。
先日、お母さんに会って、実情をお話ししたのですが、「私もあの子には手を焼いて困っているのです。先生から注意してください」と言われ、協力的な態度ではありません。
正直なところ、〝彼には塾をやめてほしい〟と思っています。
しかし、本人は「ぼくは勉強はあまり好きじゃないけど、塾は学校よりも楽しい。これからも塾に来たい」と言っています。
今後、お母さんも含めて、どのように指導していけばよいのでしょうか。
(石川県金沢市 I子)
温かく見守る〝お母さん〟になってあげて
【アドバイス】:学習塾は学校と違い、先生も生徒も成績をアップさせるという目的意識を持って励む場所だけに、他の生徒たちの勉強が中断し、集中できないのは困りますね。
みんなのやる気がなくなるだけではなく、先生も心が安らがないことでしょう。
まずは、あなたがこのお子さんのお母さんになってあげてはいかがでしょうか。
きっと、このお子さんは、家庭でも学校でも自分の居場所がなく、
周りから否定されてどうしたら良いのか分からず、先生の気を引くために、やってはいけないことをするのでしょう。
問題行動を正そうと思うほど、どうしても責める言葉や冷たい態度を取ってしまいがちですが、
どうぞ腹を決めて、温かく見守って対応するお母さんの役割を担ってあげてください。
このお子さんの心の中に、どんなに悲しく淋しい思いがあるのか気づいてあげ、
みんなの前では怒ったり注意したりするのではなく、できれば二人だけの場所で穏やかに、優しい言葉や態度で諭すように話してあげましょう。
どのような人にも、どのような子も、長所と短所を合わせ持っています。
その子の美点や長所を容姿(容貌)・能力・性格の三つの視点から、考えてみてください。
今までは見過ごしていたすばらしい能力やよい性格などに気づくことでしょう。
そして、あなたが評価したことを、みんなの前で具体的にしっかりと褒めてあげましょう。
認めてもらい、褒めてもらえると、どんなに嬉しいことでしょうか。先生の愛情をいっぱい感じ、愛されていることを知り、信頼関係が築かれます。
すると、あなたの期待に応えようと努力するはずです。
信頼の絆がしっかりとできれば、人に迷惑をかけた時に少しくらい厳しく叱っても大丈夫です。
その子の心は傷つくことなく、優しい塾の先生に愛された思い出を心の支えにして、社会に出た時に体験する荒波や辛い出来事にも乗り越えて生きていける力がつくのです。
【月刊「すこ~れ」 341号 〔すこ~れ相談室〕より】