隣人が口うるさい
指示や命令 百害あって一利なし ~小川健次の子育てセミナー⑪~
子どもに選択権持たせる ・・・苫小牧民報/千歳民報 2016年2月4日(木)掲載
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指示や命令 百害あって一利なし
若い夫婦が結婚して7年目に誕生した“直子ちゃん”は今、小学1年生。
お母さんはかわいい一人娘の成長を気づかい、アレコレと指示や命令をするようになっていました。「早く起きて、支度しなさい!」「ママの化粧品、イタヅラして使ったらダメ!」「勉強、もっとガンバリなさい!」など…。
お母さんの指示どおりにしないと怒られる直ちゃんは、いつの間にか「お母さん、オヤツ食べていい?」「ヨッちゃんと、外で遊んでいい?」「テレビを見てもいい?」など、何でもお母さんに聞いて、許しを得てから行動するようになりました。最初、お母さんは得意満面に答えていましたが、自分から行動しないわが子の姿に疑問を抱いたのです。
子どもに選択権持たせる
母親セミナーで講師に質問すると、「わが子可愛さのあまり、『~しなさい』『~してはダメ』『ガンバリなさい』という言葉は、子どものヤル気を失わせます。子どもに何か言うときは2回までとする。3回言うと干渉になり、子どもに抵抗の心理がはたらいて指示待ち人間になっていくのです。アレやコレや言わず、口数を半分にしたらどうでしょうか?」とアドバイスされました。
家に帰ってわが子に向き合うと、ツイ、口やかましく言ってしまいます。ハッと言葉を飲み込んで、自分を抑えるよう努力しました。すると、不思議なことに、子どもはヤル気が出て、自分から行動するようになったのです。
わが子の姿を見て言わずにおられない方のために、親の思いを伝え、しかも指示や命令にならない方法があります。例えば、「早くご飯を食べなさい」という表現を、「お母さんは、早くご飯を食べたほうがいいと思うワ」にするのです。「早く宿題をしなさい」は「お母さんは、早く宿題をしたほうがいいと思うヨ」に。語尾の「~と思う」という表現は、指示や命令ではありません。子どもの意思を尊重し、選択権をもたせることになり、それを聞いてどう判断するかは子ども自身なのです。
小川健次(おがわ・けんじ)
1952年、常呂郡留辺蘂(るべしべ)町(現北見市)生まれ。68年から22年間、苫小牧に在住し、製紙機械の組み立て・修理や電気工事などに従事した。現在、神奈川県相模原市に本部を置く公益社団法人スコーレ家庭教育振興協会の理事・教育開発局長。生涯学習プログラムの開発、講師、カウンセラーなどを務める。子どもは社会人の一男(31歳)、二女(29歳と26歳)。