中学受験を前に、親が知らない行動をしていた
挫折から立ち直れない長男
【お悩み】:私は53歳の主婦で、市役所に勤める夫と、もうすぐ30歳になる長男との3人暮らしです。
長男は本来なら社会人として自立し、結婚して子供がいる年頃なのですが、
未だに自分のやりたい仕事に出合えず、悶々とした生活を送っています。
狭い家の中で、夫と私は長男に気兼ねしている状態です。
長男が小学生の頃、私立中学への受験が加熱し始め、有名校に合格するには、かなりの難関をくぐり抜けなければなりませんでした。
塾に通い始めると、面白いように成績の順位が上がり、気がつくと、親の方が有頂天になっていました。
長男は希望の中学と高校に進学し、一流大学にもストレートで合格できました。
卒業後、ある企業からエリートとして迎え入れてくれることになり、社会人としての第一歩を踏み出しました。
しかし、人間関係につまづいて入社3ヵ月後に突然、「会社から是非に、という要請と両親の強い勧めがあったから入社したが、本当は自分の希望する業種ではないので辞めたい」と言い出しました。
夫も私も反対したのですが、結局、その会社を辞め、翌年、長男が希望していた会社に入りました。
しかし、仕事で失敗したことを苦に、
三年後、再び辞めてしまったのです。
それ以来、家でブラブラする日が続いています。
私は長男に何とか立ち直ってほしい、との思いから、今後についてアドバイスをしたり、勤め先を紹介するのですが、長男は一向に動こうとしません。
母親として、どのように接すればよいのでしょうか?
【アドバイス】:母親としてのあり方を見直す
エリートコースから一転して、挫折の渦中にいる息子さんの将来を案じるお母さんのつらい気持ちはよくわかります。
大学卒業まで成績が優秀で、挫折を味あわずに育ったのですから、自信を失った今、立ち直るまでに時間がかかると心得ることです。
長い目で見ると、息子さんにとってこの挫折は、人生の財産となります。
先ず、子どもの自主性を認め、過度の期待をやめて、
人生の選択を本人に任せることが大切です。
お母さんの愛情が過剰になると、子どもは自分の考えを主張できない性格になります。
息子さんは周りから羨望の対象となるくらい優秀で、高いプライドを持っているのですから、自信を取り戻せば、必ず立ち直ります。
そのためには、息子さんに今、一番やりたいことや得意なことをさせて、充足感や成功体験を積み重ねることです。親はそれを評価してあげればよいのです。
そして、あなたの関心事を子どもから、社会的に有意義なボランティア活動などに切り換え、子どもの進路はご主人に任せることです。
子どもにやる気とエネルギーを与えられるよう、朝は早く起き、明るく挨拶を交わすなど、活力に満ちた家庭作りを心がけて下さい。
【月刊「すこ~れ」 233号 〔すこ~れ相談室〕より】