❝黙って見守る❞親の愛 ~小川健次の子育てセミナー⑩~
子育てを楽しめない
【お悩み】:二歳の長男と一歳の二男をもつ母親です。
結婚する前は幼稚園に勤め、保育士をしていましたが、今は専業主婦です。
幼稚園で働いていた時は園児たちが可愛く、毎日が楽しくて一日があっという間に過ぎました。
しかし、わが子に対しては一生懸命になってしまうのか、子育ての楽しみよりも、苦しさの方が多いのです。
まだ二歳だから……と思っていても、食事や身支度に時間がかかり、遊んだおもちゃが散かり放題になっていると、ついイライラして叱ってしまい、感情的な対応をしてしまうのです。
まわりからは「保育士をしていたから、子育てのベテランね」と言われることもあり、それがプレッシャーとなって、今まで何を身につけてきたのかと悲しくなり、涙が出ます。
そして今が子育ての一番大切な時期だと思うと、あせってしまうのです。
子供は好きなのですが、思うような子育てができません。どうすればよいかアドバイスをお願いします。
(茨城県土浦市・T子)
一人で悩まず、気分転換できる環境に
【アドバイス】:二歳と一歳の乳幼児の子育ては一番手のかかる時期であり、あなたの思い通りにはならず、毎日が大変ですね。
ゆっくりと休む暇もないことでしょう。
保育士をされていた時は他人の子供の面倒を見て、ともに働く人と苦労も喜びも共有できました。
また、保護者の方からねぎらいの言葉や、仕事としての報酬もいただいていたのです。
あなたは保育士としての体験を積んでこられたのですから、幼児の心理や扱い方には熟知されているはずです。
しかし、自分の子育てとなると、環境や条件はまったく違います。
金銭的な報酬はなく、家庭の中で、お一人で悪戦苦闘されているのですから、仕事をしていた時と比較することはできませんし、完璧にできて当たり前、と思う必要はないのです。
今、あなたに必要なことは、一人で悩まないことです。
相談できる人や話を聞いてくれる人、あるいは子育てをサポートしてくれる人を見出すことです。
実家のお母さんやご主人のお母さんに少しの間、応援してもらうのはいかがでしょうか。
地元の広報誌をチェックして、子育て講座など、子供連れで参加できる気軽な催しに足を運んでみるのもよいでしょう。
同じように悩んでいる同年代の親子に出会えるかもしれませんし、外の空気を吸うだけでもリフレッシュできます。
また、ご主人がお休みの時、手助けしてもらえると楽になります。
たとえ数時間でも、お子さんたちと離れることによって心が解放され、気分転換にもなります。
まわりの人から協力が得られるようなかかわり方を心がけてください。
今の大変な状況がずっと続くわけではありません。もう少しの辛抱ですから、ぜひ乗り越えてください。
【月刊「すこ~れ」 339号 〔すこ~れ相談室〕より】