中学受験を前に、親が知らない行動をしていた
抱っこ、おんぶ、添い寝 母の愛を自覚 ~小川健次の子育てセミナー①
人間らしい環境で育てる ・・・苫小牧民報/千歳民報 2015年4月2日(木)掲載
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人間らしい環境で育てる
今から約100年前、インドで実際に起きた大変ショッキングな出来事があります。
ベンガル州のジャングルで、生後間もなくオオカミの群れにさらわれて育てられた2人の幼女を救出し、シング牧師夫妻が養育に当たりました。
2人の幼女は両手と両足で歩き、食べ物は手を使わずに直接口で食べ、着物を着せても脱いでしまいます。聴覚が鋭く、人が近づくと非常に警戒し、夜中に起きて遠吠えをしたと言います。
夫妻は2人の人間性を取り戻そうと日夜苦心するのですが、ついに人間としての成長はかなわず、2人とも病死しました。
この悲惨な事実から、私たちは何を学ぶべきでしょうか?
抱っこ、おんぶ、添い寝
母の愛を自覚
それは“人間の子としてこの世に生まれても、しかるべき時期に人間らしい環境の中で育たなかったら、人間らしくは育たない”ということです。環境の最たるものが“家庭環境”であり、親自身の日常生活の心の持ち方や行動、子どもへの対応などが、子どもにとっては環境なのです。
昔から、日本のお母さんは子どもにオッパイを与え、抱っこし、おんぶして育てることを、ごく自然に生活の中に取り入れてきました。子どもを寝かせるときは、絵本を読んで聞かせ、子守歌を歌いながら添い寝もしました。それは、日本の風土に根差した伝統的な子育て法だったのです。
お母さんが赤ちゃんを抱くことは、“母子間の肌の触れ合い”を通して、体のぬくもりや心臓の鼓動を伝え、赤ちゃんに“自分はお母さんに愛されている尊い存在なのだ”と、自然に自覚させていくことなのです。
今、赤ちゃんを抱かない、おんぶしない若いお母さんが増えています。「抱くと、抱き癖がつくから」という理由や、お母さん自身も抱かれて育てられなかった人が多いのです。
この世には過去から現在、さらには未来にわたって変わらないことと、時代の変化と共に変えていかなければならないことがあります。今の時代に求められる子育て法と親の生き方について、12回にわたって連載いたします。
小川健次(おがわ・けんじ)
1952年、常呂郡留辺蘂(るべしべ)町(現北見市)生まれ。68年から22年間、苫小牧に在住し、製紙機械の組み立て・修理や電気工事などに従事した。現在、神奈川県相模原市に本部を置く公益社団法人スコーレ家庭教育振興協会の理事・教育開発局長。生涯学習プログラムの開発、講師、カウンセラーなどを務める。子どもは社会人の一男(31歳)、二女(29歳と26歳)。