高校を中退したい長男
わが子の成長楽しみに ~小川健次の子育てセミナー②
“親だから”の気負いをやめて、楽になろう
・・・苫小牧民報/千歳民報 2015年5月7日(木)掲載
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“親だから”の気負いをやめて、楽になろう
“這(は)えば立て、立てば歩めの親心”と昔から言われるように、親なら誰でもわが子の成長を心から願い、一つのハードルをクリアすると、さらに次から次へと要求を重ねていくものです。
新幹線がまだ世に出なかった時代、東京~京都間は在来線を乗り継いで10時間くらいかかったそうです。今、新幹線の「のぞみ」に乗車すると、わずか2時間20分で到着することができ、まさに“日進月歩”から“秒進分歩”の時代を迎えています。
わが子の成長楽しみに
日本人は一般に「せっかち」な性格です。より早くという志向は、生活の中にまで浸透して、子育てにもゆとりを失わせています。
親はわが子がいずれ自立できるように、社会性を身に付ける“しつけ”をしなければなりません。子どもが自分で起きて、家族にあいさつをする。自分で身支度をして、登校する。帰宅したら靴をそろえて脱ぎ、親に言われなくても宿題する…など。
しかし、親が言うまでやらない、言ってもやらない、やっても上手にできないなどの状況を見ていると、イライラしてこらえ切れず、つい、「早くしなさい!」と怒鳴ってしまうのです。わが子の成長をじっくり待つことができないとともに、自分は親だから、わが子をしっかりしつけなくてはならないという責任感が強過ぎるのです。
わが子の表情や動作にイライラし、ガミガミ言うのは、本当はわが子を心から愛しているからです。人の顔や性格がみんな違うように、わが子の成長も一人ひとり違います。みんな違って、みんないいのです。
生まれた子どもがまだ5歳ならば、親の要求に応えられないことがたくさんあります。それと同じように、親として、子どもへの本来の関わり方が身に付いていないこともたくさんあるのです。子どもが5歳ならば、親もその子の親としての経験は、まだ5年しかないのです。
“親だから”という気負いをやめて、楽になることです。“育児は育自”と受けとめて、子どもの成長とともに、親自身も育っていけばよいのではないでしょうか?
小川健次(おがわ・けんじ)
1952年、常呂郡留辺蘂(るべしべ)町(現北見市)生まれ。68年から22年間、苫小牧に在住し、製紙機械の組み立て・修理や電気工事などに従事した。現在、神奈川県相模原市に本部を置く公益社団法人スコーレ家庭教育振興協会の理事・教育開発局長。生涯学習プログラムの開発、講師、カウンセラーなどを務める。子どもは社会人の一男(31歳)、二女(29歳と26歳)。