2015.11.06 生活アドバイス | 子育ての悩み

母のぬくもり、心の安定に ~小川健次の子育てセミナー③

人間は1年未熟児の状態で生まれる・・・苫小牧民報/千歳民報 2015年6月4日(木)掲載

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苫小牧民報・千歳民報③(2015年6月4日)

 

人間は1年未熟児の状態で生まれる

人間以外の哺乳類(ウマ・ウシ・ゾウ・キリンなど)の赤ちゃんは、生後間もなく、自分の4本の足で立って歩き、お母さんのオッパイを探して飲みます。ただ、ネコやネズミなどは赤裸で目が開かず、ほとんど動けない状態で生まれます。昨年、私の初孫が誕生しましたが、自分では何もできず、ただオギャー、オギャーと泣いて母親に抱かれているだけでした。
人間の胎児がこの世に生まれるまで、母親のおなかに宿って十月十日(とつきとおか)がかかると言われていますが、WHO(世界保健機関)の妊娠期間の統計では280±15日。ゾウは21カ月、ウマは11カ月、ウシは9カ月、ブタは4カ月、イヌ・ネコは2カ月であり、ネズミは何と20日という短い日数です。母体の中では、必要な栄養を与えられ、すべての外敵から守られています。しかし、動物の赤ちゃんは、出産直後から周りは外敵などの危険がいっぱいなので、いち早く成長します。

母のぬくもり、心の安定に

アドルフ・ポルトマンというスイスの動物学者は、「人間は脳だけが過剰に大きくなったため、母体の骨盤がその大きさに耐えられないので、1年くらい未熟児で生まれる」と言いました。特に脳が未発達で、3歳くらいまでの脳の完成を待っていると頭が大きくなり過ぎて、産道を通れなくなってしまうのです。
人間は1年未熟な状態で生まれるため、母胎に匹敵する環境が必要になります。それが母親の愛であり、温かい家庭環境と言えましょう。“赤ん坊のときは肌を離すな。幼児のときは手を離すな。子どものときは目を離すな。少年のときは心を離すな”は、親の心得の名言です。
赤ちゃんを肌身離さずしっかり抱いて、お母さんの体のぬくもりや心臓の鼓動を伝え、最高の微笑と愛を育む言葉で育てることが、子育ての基本です。それによって“自分はお母さんに愛されている尊い存在なのだ”と自然に自覚し、その後の成長においても、心の安全基地を得ていきます。
“三つ子の魂百まで”と言われるゆえんです。

 

小川健次(おがわ・けんじ)
1952年、常呂郡留辺蘂(るべしべ)町(現北見市)生まれ。68年から22年間、苫小牧に在住し、製紙機械の組み立て・修理や電気工事などに従事した。現在、神奈川県相模原市に本部を置く公益社団法人スコーレ家庭教育振興協会の理事・教育開発局長。生涯学習プログラムの開発、講師、カウンセラーなどを務める。子どもは社会人の一男(31歳)、二女(29歳と26歳)。

 

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