2015.11.17 生活アドバイス | 子育ての悩み

深層心理を子は共有する ~小川健次の子育てセミナー④

母と子の“潜在意識”のメカニズム ・・・苫小牧民報/千歳民報 2015年7月2日(木)掲載

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苫小牧民報・千歳民報④(2015年7月2日)

 

母と子の“潜在意識”のメカニズム

結婚して10年後、あるご夫婦に待望の男の赤ちゃんが誕生しました。半年後、奥さんの実家へ里帰りしました。両親は大喜びで迎えてくれましたが、赤ちゃんは泣いて、いつまでたっても泣きやみません。両親が抱こうとすると、手足をバタバタさせて抵抗するのです。夜中も泣き続け、2人は滅入ってしまいました。
翌朝、これ以上両親に迷惑を掛けられないと、タクシーで実家を後にしました。すると、あれほど泣いていた赤ちゃんが、どういうわけかスヤスヤと眠っているのです。

深層心理を子は共有する

数カ月後、奥さんがご主人に意外なことを打ち明けました。
彼女は小学生のとき、出来心で万引きをしたことがありました。母親から散々叱られた揚げ句、「あんたなんか産むんじゃなかった」と言われ、心が傷ついてしまいました。彼女は今なお、母親を心の中で許していなかったのです。
赤ちゃんは、母親から一刻も早く離れたい、という彼女の思いを果たそうと泣き続け、翌朝、成功しました。もう泣く必要がなくなり、安心して眠ったと考えられないでしょうか?
私たちの意識を“顕在意識”と“潜在意識”の視点から捉えてみましょう。
顕在意識は日常、喜怒哀楽を自覚的に捉えられる意識で、潜在意識は自分では捉えることのできない深層心理の世界にある意識です。
1912年、タイタニック号が航海中に氷山にぶつかって沈没し、1500人以上の命が奪われ、“史上最大の海難事故”と言われました。氷山の一角と言われる、海面上に現れているわずかな部分を顕在意識とすれば、海中に漬かっている膨大な部分は潜在意識。氷山は海面上を吹く風の力で動くのではなく、海流に乗って動くものです。
胎児は成長していく過程で母親と潜在意識を共有し、誕生後も12~13歳頃まで続きます。あたかも超能力者のように、母親の心を読み取る子どもの姿は、母親の心や生き方を映す鏡のようなもの。子どもの良くないところを直そうとするよりも、まず自分の在り方が求められるのです。

 

小川健次(おがわ・けんじ)
1952年、常呂郡留辺蘂(るべしべ)町(現北見市)生まれ。68年から22年間、苫小牧に在住し、製紙機械の組み立て・修理や電気工事などに従事した。現在は公益社団法人スコーレ家庭教育振興協会(本部・神奈川県相模原市)の理事・教育開発局長。生涯学習プログラムの開発、講師、カウンセラーなどを務める。子どもは社会人の一男(31歳)、二女(29歳と27歳)。