わが子の長所は何? ~小川健次の子育てセミナー⑫~
お婿さんを怒らせてしまった
【お悩み】: 私は還暦を迎え、3ヶ月前に25年勤めていた会社を退職しました。
夫は7年前他界し、その悲しみが癒えた頃、長女が以前から付き合っていた人と結婚しました。
それからは一人住まいとなったのですが、2年前、当時32歳の長男が思いもかけず突然死しました。
その時長女のお婿さんは、実の弟を亡くしたように悲しんでくれました。
この度、長女夫婦に待望の男の赤ちゃんが産まれました。お産で里帰りする長女に、
私は一生懸命世話をしようと誓いました。
小さい頃から、姉であるということで厳しく接し、長男ばかりを可愛がっていた私です。
夫、長男が亡くなってから、生きる元気を失ってしまった私を長女はいつも優しく心に掛けてくれていたので、感謝の気持ちを表したかったのです。
出産一週間前に、お婿さんも一緒に帰ってきました。
ところが、娘が出産をして入院中でもお婿さんはそう遠くない自宅へ帰ろうとせず、結構気ままに振る舞うことに私はいささか呆れました。
退院して娘と孫が帰ってきてからも、お婿さんの態度は変わらず不規則な生活をしていました。
娘はお婿さんを気遣いながら育児をしています。
お産の里帰りは、産後の肥立ちの助けをするものであって、普通お婿さんは自宅で留守番をするものだと思っている私は、
「遊びにきているわけじゃないんだから、規則正しい生活が出来ないなら帰ってちょうだい。娘と孫は私が面倒見ます」
すると彼は怒って「自分を家族と認めてくれないのなら帰る」と言って、
私は世話をしようと意気込んでいましたのにがっかりです。
【アドバイス】:意地を張らず素直に謝って
あなたがご長女のお産の世話をしたいというお気持ち、心に痛いほど伝わってきます。
また、娘さんとお孫さんの面倒をみるだけでも大変なのに、お婿さんがずっといるのは、
一人暮らしに慣れたあなたには大変です。
でもちょっと考えてみてください。
妻が入院中、妻の母と二人の生活は気詰まりになるのに、まるで息子のように振る舞って甘えているお婿さん。
「自分を家族と認めないなら」とおっしゃっている通り、ご長男が亡くなられてからのあなたの寂しさを察し、息子のように甘えようとしていたら、結構居心地も良くなって本当に甘えてしまわれたのではないでしょうか。
そんな気持ちでいた時、あなたから「帰りなさい」と言われたら、ショックだったでしょうね。
でも今一番辛い思いをしているのは、間に入ったご長女です。
出産後、穏やかな気持ちで赤ちゃんと接することがとても大切な時期。
このままですと、せっかくのあなたの気持ちも仇になってしまいます。
あなたはなんといっても母親なのですから、意地を張らず、お二人に素直に詫び、手伝いの必要があったら快くしてあげましょう。
きっと若い夫婦にあなたの真意が伝わることでしょう。
【月刊「すこ~れ」 280号 〔すこ~れ相談室〕より】