自分から行動して欲しい
「家族の犠牲になった」と愚痴る夫
【お悩み】:夫は三十六歳の会社員で、四歳の長男、二歳の二男の四人家族です。
すぐ近くに夫の実家があり、義父母は祖母と三人で生活をしています。
私たち家族とは良い関係です。
夫は転勤族で、結婚してからも三回の転勤があり、そのたびに社宅住いを続けてきました。
しかし、私は周囲の目が気になって、社宅生活に馴染めませんでした。
長男は家の中で遊ばせることが多く、「大きな声を出してはダメ! 走り回ってはダメ!」と怒ってばかりいました。
二男の妊娠中は、六ヵ月あまり入退院をくり返し、双方の母親が交代で長男の面倒を見てくれました。
産後、私はノイローゼ気味となり、夫の実家近くにマイホームを建てて住むことになりました。
夫は〝最初で最後の転勤願い〟を会社に提出して受理され、今は片道二時間近くかけて電車通勤をしています。
ところが最近「オレはもう出世できない。不利な立場になってしまった。オレは家族のために犠牲になった」と、何度となく愚痴を言うようになったのです。
また、長男は家や幼稚園ではおとなしいのですが、公園や近所では友だちに乱暴な言葉を使ったり、私にウソをついたりして困らせます。
今後、夫や子供にどのように対応したらよいでしょうか?
(東京都立川市・E子)
あなたに信頼をよせている証
【アドバイス】:家族思いのやさしいご主人ですね。
それゆえ、ご主人のさり気ないひと言にあなたが心を痛めるのはよくわかります。
何よりマイホームや転勤願いは、妻の窮地を救うために決断されたのですから。
ご主人が会社に転勤願いを申し出られたのには、相当な覚悟があってのことと思います。
〝最初で最後〟とおっしゃっているように、今後は会社側からの転勤命令を拒否する意向も含んでおられたと考えられます。
当然、出世コースから外されることになります。
そして、現実に身近な同僚が昇進していく姿を見て、つい、あなたに愚痴をこぼしたくなったのでしょう。
ノイローゼ寸前になったあなたに、ご主人が本音を言えるというのはどういうことか考えてみてください。
あなたが気丈夫になられて、ご主人が信頼を寄せている証ではないでしょうか。
以前のあなたには、決して口に出せなかったはずです。
夫婦がお互いに信頼し、尊ぶ心でいれば、どのような困難も乗り越えていけます。
ご主人の会社での立場や状況が、今は不利だったとしても、この先同じ状況がずっと続くとは限りません。
先を憂えることなく、一日一日を明るく前向きに生活するよう心がけましょう。
あなたの心が開放されたように、息子さんも四歳の男の子らしいやんちゃぶりを発揮しているのだと思います。
子育ては、しつけにとらわれて規範ばかりを強要するとストレスになります。
小さい頃から我慢させられることの多かった息子さんの心に寄り添い、共感し、
一日一回は抱きしめて、「あなたはお母さんの宝物よ。大好きよ」と言って、愛情をたっぷり与えてあげましょう。
そして、あなた自身がもっと自信をもって、輝いていけるように、自分を少しでも高める学習の場を広げていってください。
【月刊「すこ~れ」 345号 〔すこ~れ相談室〕より】