八方塞(はっぽうふさがり)で別居中
失恋から引きこもってしまった二男
【お悩み】:私は52歳の主婦で、仕事にでています。夫は55歳でサラリーマンです。子どもは長男25歳、二男19歳、長女16歳です。長男は結婚して別居していますので、現在4人家族です。
長女はバスケット部に入り、元気に高校生活を送っています。
二男は経理の専門学校卒業後、会社に勤務しました。相談はこの二男のことです。彼は入社して1年が過ぎようとした時、失恋をしました。
それから2ヵ月が過ぎようとしていますが立ち直れず、退社までしてしまいました。家で一日中ゴロゴロしている息子です。
夫からは「しばらく何も言わずに見守っていなさい」と言われていましたが、朝に夕に見る息子の姿に、「男のくせに、そのくらいのことで…」などとつい声に出してしまいました。
その言葉が引き金になって、この頃は部屋に鍵をかけ、私たちを避けるようになってしまいました。
テレビや新聞で何年も引きこもったままという青年の例などを知るにつけ、このままずっとこの状態が続くのではないか?
私は仕事をしていても気が気ではありません。夫は口で言うだけで何もしてくれません。
このままでは、先々どんな事態になるのか、日々不安でどうしたらよいかわかりません。
どうぞアドバイスをお願い致します。
【アドバイス】:ご主人との信頼関係が解決の鍵に
母親として、息子さんの生活ぶりに不安がつのる気持ちはよくわかります。
親が子どもの先々を案じて悩むこともわかりますが、ご主人が「しばらくそのままにしてあげなさい」とおっしゃる言葉を聞き入れなかったあなたは、日常生活の中で「父親の存在感」を軽視してしまっているのではないでしょうか。
ご主人は時期をみて、父親として、男同士の話をしようと考えていらしたのかもしれません。
それなのに、あなたがご主人と意思の疎通を図らず、失恋して退社までしてしまった息子さんの心の痛み、悲しくせつない気持ちを察して話を聞いてあげることをせず、さらに口から出る言葉が非難と怒りでは、息子さんはますます元気がなくなってしまいます。
立ち上がりたくても立ち上がれなくしているのです。
あなたはご主人の言葉も聞き入れず、仕事をしていることで自分本位に生活をしていませんか。
子どもは何歳になっても母親のやさしい態度と、笑顔で接してくれることを望んでいるのです。
ですから、どんな場合でも心から共感し、すべてを受け入れるだけの度量を養うことが大事です。
あなたがそのような努力をされることで、息子さんにエネルギーが伝わっていくでしょう。
しばらく時間がかかるかもしれませんが、母親が変わっていくことこそ、部屋を出て家族の中に帰っていく鍵となります。
どうぞご主人と力を合せ、信頼し合って活力のある家庭作りに励んでください。
きっとお子さんは立ち直っていかれますよ。
【月刊「すこ~れ」 301号 〔すこ~れ相談室〕より】