中学受験を前に、親が知らない行動をしていた
嫁から「財産を管理するから」と言われ
【お悩み】:私は山形の裕福な家庭の五人兄姉の末娘として生まれました。
五歳の時に母親と死に別れ、長兄の嫁に育ててもらいました。
二十歳の時にひとり息子の夫と結婚し、五人の子どもに恵まれましたが、戦後は姑に仕え、
夫の浮気に耐えながらの生活は並大抵のものではありませんでした。
現在私は七十五歳。
五十五歳の長男と五十六歳の嫁と同居しています。
他の子ども達はそれぞれ独立して生活しています。
夫が亡くなってから、私は自由に気楽な生活をしたいと念願していました。
しかし、長男の会社もこの頃は思わしくなく、一緒に仕事をしている嫁も体調を崩し、帰宅してからも機嫌が悪いのです。
私はできるだけ家事を手伝い、役に立ちたいと思っているのですが、どうやら私のすることが嫁には気に入らないようなのです。
そのうえ、私の生活すべて、食事や買物、洋服に至るまでチェックされます。
今更別居するわけにもいきませんし、私はいつも嫁の顔色をうかがってストレスを感じています。
また、今年になってから「財産は自分たちで管理するから渡してほしい」と詰め寄られました。
私自身物忘れも多くなり、老いの波がどんどん押し寄せて不安です。
今後どのような気持ちで過ごしたらよいのでしょうか。
【アドバイス】: 上手に人の世話になる心がけを
日本の貧しかった時代を乗り換えて五人のお子さんを育て上げ、母として嫁として家を守ってこられたことは、たいへん立派だと思います。
しかし、戦後七十年経って学校の教育も変わり、時代の流れも変わりました。
昔は当たり前だったことや、親だから尊敬されるという時代ではなくなってしまいました。
お嫁さんは、あなたの大事な息子さんを生活の面でも支えていらして、たいへんしっかりした方だと思います。
疎ましくおもわれながらもいろいろ勉強して、あなたがより美しく品のある老い方ができるように気配りをしてくれているのだと思います。
価値観の違いもありますし、よかれと思ってしてあげたことでも、残念ながら迷惑ととられてしまうこともあるでしょう。
財産についても、お子さんたちときちんと話し合う場を設けて、トラブルのない解決法に委ねられたらいかがでしょうか。
他人はみな幸せそうに見えますが、人それぞれ苦労を背負って生きているものです。
自分に与えられた運命を受け入れ、体が弱いお嫁さんの心に共感し、心が安らぐようにしてあげることが大事だと思います。
年齢を重ねるに従って、上手に人のお世話になることは難しいものです。
だからこそ、いつも明るく感謝の心で、今日一日を楽しみながら過ごしてください。
【月刊「すこ~れ」 310号 〔すこ~れ相談室〕より】