子どもたちに叱責される夫
サービス営業で借金を抱える長男
【お悩み】:私は58歳の男性で、定年を2年後に控えて小規模な商社で総務を担当しています。
妻は52歳の専業主婦。
相談は25歳の長男(独身)のことです。
彼は大学を卒業後、自動車ディーラーで営業職を3年続けています。
自動車の販売は競争が激しく、連日夜遅くまで、土・日曜日は展示会や試乗会などで休みなく
働いています。
最近、消費者金融業者から電話があり、長男に150万円の借金があることがわかりました。
理由を聞くと、販売ノルマを達成するため会社から認められないパーツを自分で購入して
サービスで取り付け、その商品代にあてたものであり、その他は勤務先から買ったパーツ代が
本人の給料の手取りが約12万円で、利息が雪だるま式に増えていく消費者金融はとても返済できるものではありません。
また、そこまでしてノルマを達成しなければならない営業の仕事を続けることは、本人の将来にとってもよくありません。
長男は、「会社を辞めて一年間勉強をし、人のために働く公務員の試験を受けたい」と
言っております。
今、借金を抱えて職を失うことは、本人や家族にとって大変苦しいものです。
この際、私が本人に代わって一切を返済し、再起を応援したいと思いますが、
退職や肩代わり返済がよいことなのか、判断に迷っています。
また、公務員試験はやさしいものではなく不安があります。よきアドバイスをお願いいたします。
【アドバイス】:営業職は不向き、将来への挑戦を
ご長男は会社のことを思って、また、自分の職責をまっとうするために、色いろと苦労されてきたことと思います。
しかし、車を販売しての報奨金や成績給与から150万円の借金を返済することは、不可能でしょう。
それに、ものをサービスしないと車が売れないという営業テクニックや営業能力にも問題があります。
この際、営業職は不向きと割り切って転職されることをお勧めします。
ご長男にとって、1年間の勉強の苦労はありますが、営業職をこれ以上続ける方が
背水の陣で苦労に挑むならば、意外と道は開けてくるものです。
もし、1年後に試験に受からなくても、ご長男には若さがあります。
再挑戦も可能ですし、自分に一番合った職をじっくりと見直すよい機会ではありませんか。
借金と未払い金のことですが、息子さんの3年間の実社会でのよき学びの授業料と割り切って、
ただ、返済した際には金融業者から“完済証明書“を必ず受け取ってください。
今のご苦労は、将来必ず実を結んで還ってくるものです。
息子さんが25歳の若さで仕事の辛酸を味わい、人生の挫折を体験できることは、長い目で見た場合、無駄ではありません。
【月刊「すこ~れ」 259号 〔すこ~れ相談室〕より】