生まれたばかりの子育てに自信がない
努力家の二女が友人との下宿を希望
【お悩み】: 会社員の夫(五十一歳)、OLの長女(二十四歳)、フリーターの長男(二十二歳)、専門学校二年生の二女(十九歳)の五人家族で、私はパート勤めをしています。
夫は一昨年、会社が倒産して転職しました。収入も四割減となり、ボーナスも出ません。
このような状況で二女は大学進学をあきらめ、専門学校を選択し、奨学金を受けて通っています。高校時代からのアルバイトを続けて、自分で通学定期代を賄っています。通学には片道二時間かかるため、朝は六時前に出かけ、夜は十時過ぎに帰宅することも多く、日曜はアルバイトに行き休暇もない状態です。兄のようなフリーターにはなりたくないと口癖のように言っています。
卒業まで半年という時期になって、学校の近くにできたマンスリーマンションに、友だちと二人で入居したいと言い出しました。お友だちはご両親が離婚寸前の状況で、そのような理由から家を出たいようです。
二女にとって一番親しい友だちで、同情してということと、通学が楽になるからという理由だとのことですが、親としてどのように判断したらよいでしょうか。
【アドバイス】:頑張りを認めたうえで話し合いの場を
ご家庭の状況もよく把握し、頑張り屋で思いやりのある優しい娘さんですね。
確かに、お友だちへの同情心から発したことかもしれませんが、少し楽をしたいという本音も言っていますね。ご両親はまず、娘さんサイドに立って今までのことを振り返り、改めて考えてみてください。
大学に入っても、親の懐に頼って遊び三昧の若者が多い中、長時間の通学にもかかわらず勉強に専念し、休日はバイトに励む生活。一年半、本当によく続けられたと感服します。エネルギッシュで責任感の強い娘さんだからこそ、やってこられたのではないでしょうか。
いつもそばで見ているご両親は、娘さんのこれまでの生活ぶりを〝あたりまえ〟のように捉えていませんか? これまで一度でも、娘さんをきちんと褒めてあげたことがありますか?
あまりにも近すぎる親子という関係ゆえに、言うべき〝とき〟と言うべき〝ことば〟を失いかけているような気がしてなりません。親子だからこそ、言葉にして伝えなくてはいけないことがあるのです。
家庭は癒しの場であり、生きる活力を補給する場でもあります。母親は子どものありのままを受け入れ、そこから生きるエネルギーを与えてあげる役割を担っています。そして父親は、社会性を育てる役割を担っているのです。
今回の問題は、ご両親そろって娘さんとじっくり話し合う良い機会となるのではないでしょうか。娘さんの思いに寄り添って話を聞き、お互いに理解し合えば、納得のいく解決方法が見いだせるはずです。
親子の信頼関係があれば、娘さんは身勝手な行動はとらないと思います。娘さんを信じてください。
【月刊「すこ~れ」 308号 〔すこ~れ相談室