2020.05.30 生活アドバイス | 家族の悩み

独り暮らしを貫く母

【お悩み】 私は41歳になる主婦です。

夫は46歳で、ある観光会社に勤務し、長男と長女はすでに就職し、親元を離れて自活しています。

私は5人姉兄の末っ子で育ち、姉3人と兄は、県外で各々家庭をもっています。

 

今年、78歳になる母のことでご相談します。

母は、私が3歳の時に父を病気で亡くし、女手ひとつで5人の子どもを育ててくれました。

 

今、隣の村で独り暮らしをしています。

私の子どもたちが産まれた頃は、泊まり込みでお世話をしてくれました。


そのまま同居するものと思っていましたが、長女が中学校に入学したのを機に、

「もう、おばあちゃんが居なくても大丈夫だ」と言って、帰ってしまったのです。

 

曲がった腰を伸ばしながら、野菜を作り、私たち姉兄や子どもたちに送ってくれるのです。


毎年秋になると、布団の綿を打ち直して作り替えています。

そんな姿を見ていて、辛くなることがあります。

 

病気で寝込んだりケガをしたことはありませんが、近頃は視力が落ち、風邪をひきやすくなりました。
その都度、近所の病院に連れていって看病しています。

 

正月やお盆に、母の元に私の姉兄たちが入れ代わり立ち代わり遊びに来て、同居を勧めるのですが、頑として断り続けています。

夫は母のために、昨年、増築までしたのに、

「自分の体が動けるうちは、お前たちの世話にはならない」と言って、

自分の思いを通しているのです。

 

兄は、母の独り暮らしを心配して、時々、20歳の娘に様子を見に行かせています。

こんなに周りが心配して、逆に、自分が迷惑をかけているのが分からない母を腹立たしく思います。

母を何とか説得する良い方法はないものでしょうか。

【アドバイス】: 今は親の願いを叶えさせる

年老いたお母さんの生活や健康を気づかうあなたの気持ちは、子どもとして当然であり、よく分かります。

しかし、お母さんの身になって考えてあげてください。

畑で野菜を作り、それをあなた方やお孫さんたちに喜んで食べてもらうことが、毎日の生き甲斐になっているのです。

曲がった腰や見えにくくなった目の辛さを超えた、大きな喜びなのでしょう。

若くしてご主人を亡くされ、女手一つで5人ものお子さんを立派に育てられた自信が、
今なお一人で暮らしていける力となっているのです。

 

今、ここで無理に同居させてしまったら、生きる張り合いを失い、気力も体力も衰えて、健康を害することにもなりかねません。

今はお母さんの願いを優先することが、子どもとしての最高の親孝行なのです。

 

いつの日か、お母さんが同居を希望された時に、受け入れられるよう準備しておけば良いのです。

それまでは、姉兄で交代で遊びに行って元気な顔を見せたり、電話で近況を尋ねたりして、いつも声を聞かせてあげることが大切です。

【月刊「すこ~れ」 213号 〔すこ~れ相談室〕より】